6月30日、蓉矽半導体有限会社(以下、「蓉矽」)は「オフライン発表会+オンライン同時ライブ中継」で、「Power for the Future」製品発表会を開催し、自主開発したNovuSiC® EJBS™およびSi 理想MCR®ダイオードシリーズを発表し、同社の独立自主研究開発能力と製品実力を十分に示しました。
SiCデバイスの新たなマイルストーン 海外産の代わり国産を目指す
蓉矽は2019年12月に設立され、今現在では、四川省初、そして唯一のSiCパワーデバイスの設計と開発に専念した企業であり、中国本土、中国台湾、日本及びヨーロッパからのSiCコア技術人材から構成されたグローバルチームを持ち、原材料から、エピタキシー、ウェーハ製造、パッケージング組立までのすべてがIATF 16949品質管理基準を満たす完全なサプライチェーンを構築しました。
今回の発表会で、蓉矽の戴茂州社長はまず会社を代表して挨拶しました。当社の座右の銘が「真面目に扱う」であり、これは当社の特別な所です。「お客様のニーズに応えても、デバイスの電気パラメータを設定しても、私たちは非常に真面目に対応しています。製品開発において、子供のように製品に対して、私たちは多くの心力を注ぎ込んでいます。そして、当社の製品開発哲学も大きく異なります。お客様の応用シーンとニーズから出発して、製品の様々な特性を定義して、当社は汎用型製品を製作しません」と彼は述べました。
蓉矽は世界一流の車載用レベルのSiCデバイスの開発に取り組んで、同時に関連する応用ソリューションを提供し、輸入代替の目標を達成することを目指しています。「信頼性はパワーデバイスの鍵で、長い間変わっていない品質です。製品の高信頼性を実現するために、「ゼロ欠陥」車載用レベルの品質システムを構築しています。だからこそ、当社SiCデバイスの1st MPWが90%以上の良品率を達成でき、これは半導体業界で非常に高い名誉です」と戴茂州社長は述べました。
今回の発表会で、蓉矽は1200 V NovuSiC® EJBS™を正式に発表し、そして次世代SiC MOSFETの開発展開とリリース時期を予告しました。「性能やコスパにかかわらず、当社新製品は世界トップグレードにランクインしています。これは蓉矽半導体の長年研究開発の結晶であり、会社の製品シリーズがさらに豊富にさせ、国内SiC分 野における競争力が明らかにさせ、当社SiC研究開発のマイルストーンの1つです」と戴茂州社長が述べました。
同時に、世界中「ダブルカーボン」政策によると、SiCパワーデバイスは将来、新エネルギー自動車、EV充電器、産業用電源、太陽光発電インバータ、風力発電、UPS、通信電源などのハイパワー、高周波数、高効率などの分野に広く応用されます。省エネとグリーン技術を提供する企業の1つとして、当社は国の省エネ・排出削減と「ダブルカーボン」目標の実現に全力を注ぎ込み、自社の力を貢献します。市場需要が拡大し続ける中で、当社SiCデバイスは世界をリードする先進的な性能と高信頼性を持って、多くの目標応用のニーズを満たして、将来的に会社発展の見通しも段々広くなりますと彼は考えていました。
蓉矽のSiCデバイスは主に中国台湾の漢磊科技有限会社がOEM製造しています。漢磊科技の数多くのSiC関連取引先の中で、当社は滅多にSiC MOSFETの量産を実現できる企業の1つであることが分かりました。
発表会途中では、漢磊科技大中華区程泰慶営業ディレクターが生ビデオを通じて、蓉矽新製品の発表に祝賀の意を表しました。新エネルギー車、データセンタ、太陽光発電などの市场の急速な発展と共に、SiCパワーデバイスのニーズも急増しています。蓉矽半導体などの顧客が日増しに急増している製品需要に余裕を持って対応できるようにするため、漢磊科技は今生産能力の上昇に力を入れて、2022年の6インチSiC ファウンドリサービス生産能力は毎月2000枚で、2023年には毎月4000枚に達し、2024年には毎月5500枚までに上昇すると程氏は見込みました。
NovuSiC®EJBS™:サージ電流が11倍超で「ゼロ欠陥」品質管理システムを構築
現在、蓉矽には、コスパが高い「NovuSiC®」と信頼性が高い「DuraSiC®」、この2つのSiCシリーズ製品があります。NovuSiC®EJBS™とNovuSiC®MOSFETも含まれます。
発表会では、蓉矽半導体高巍副社長が新製品特別レポートを発表し、最新の自主開発したNovuSiC®EJBS™およびMCR®製品を紹介しました。
最初に登場した新製品はNovuSiC®EJBS™です。 高巍氏は、主にNovuSiC®製品の開発過程、製品の性能と特徴、国内外競合品との対比、製品の信頼性と品質などについてレポートをしました。
レポートによると、SiC JBSはPINとSBDを結合した複合構造です。蓉矽半導体は設計プロセスを最適化にして、NovuSiC® EJBS™(Enhanced Junction Barrier Schottky Diode)製品を開発しました。プロセスの複雑さを増さないと同時に、MPSに等しい高アンチサージ電流能力を獲得しました。
発表会により、2020年11月、蓉矽半導体は1200 V/20A NovuSiC® EJBS™1st MPWを完了させ、良品率が90%を超えました。その上で「真面目に扱う」ために、また技術に磨きをかけ続けていました。2021年5月には2nd MPWが行われ、プロセスと設計も引き続き最適化されていました。しかし、蓉矽は2022年1月まで満足しておらず、NovuSiC® EJBS™がついに正式量産を実現できました。
今回量産された1200 V、20 A NovuSiC® EJBS™は11倍以上のアンチサージ電流能力を備え、より優れたロバスト性を持ちます。しかも20 AではVFは1.37 Vしかなく、リーク電流が非常に低い(2μA)です。さらに、その逆ブレークダウンと高温リーク電流はいずれも優れた性能を示し、288 Wの高電力と最大26 Aの電流に耐えることができます。
国内外の競合製品と比べると、蓉矽半導体のNovuSiC®EJBS™は、導通電圧降下や、逆リーク電流や、温度安定性などの点で優れた特性とより高いコスパを示します。
発表会では、蓉矽半導体は特に製品の信頼性保証措置を強調しました。
SiCウェーハの出荷品質と信頼性が業界最高基準に達することを確保するために、当社製品は厳格にAEC-Q 101基準に従って生産されます。これに基づき、創造的に社内AEC-Q101+基準を構築し、NovuSuperiorと呼ばれます。この他に、SiC材料欠陥による潜在的な故障に対して、特にウェーハCPテストがスクリーニングできない場合、当社は率先して国内設備メーカーと提携してWLTBI(Wafer-Level Test&Burn-in)テストシステムを共同で開発し、ウェーハの高品質を確保できます。
戴茂州会長は、「製品の性能データを話し、製品の安定した品質と安定した供給を話し、当社をお客様の信頼に値する国内SiCデバイス会社になることが私たち行動のベンチマークと使命です」と述べました。
具体的には、蓉矽は信頼性についで以下4つの仕事をしました。
「ゼロ欠陥」の信頼できる企業文化を確立しました。
IATF16949:2016品質管理基準システム、AEC-Q101デバイスの信頼性検証システム、ISO 26262自動車安全基準を含み、車載用レベルの電子デバイスの信頼性と品質管理システムを構築します。
社内独自のNovustandardおよびNovusperiorという超業界基準(AEC-Q101+)を構築しました。
DFR(信頼性のための設計)の開発プロセスを厳守しました。
2世代SiC MOSの良品率が91.2%を超える 抵抗とゲート電荷を大幅に低減させる
今回の発表会では、最新の第2世代NovuSiC® MOSFETも簡単に予告されました。
蓉矽公式サイトによると、2021年5月、蓉矽初代1200V/75mΩの平面ゲートNovuSiC® MOSFETは91.2%の良品率で1st WPMを完了させ、2021年10月に量産を実現できました。このNovuSiC® MOSFETの閾値電圧の典型値は2.5 Vで、オン抵抗の典型値は62 mΩで、Ron、spは3.85 mΩcm²です。
本製品は以下の特徴を含む:低スイッチング損失、高短絡耐量時間>3µs、高アバランシェ耐量、175℃最高動作温度、より高い周波数の環境に応用でき、それによって周辺回路インダクタンス、コンデンサ、フィルタと変圧器のサイズを大幅に減らし、システム全体の電力密度を高め、システム総損失を削減します。
信頼性について、蓉矽第1世代NovuSiC® MOSFET製品はAEC-Q 101に関する信頼性検証を行ってます。
高巍氏によると、蓉矽の第2世代NovuSiC® MOSFETはより先進的なプロセスとより優れた設計に基づき、第1世代製品と比べて特性オン抵抗も大幅に下がり、より高いコスパを獲得しただけでなく、同時にデバイスの動的特性も改善され、より低いスイッチング損失が得られました。
第1世代製品と比較して、第2世代NovuSiC®MOSFETの Ron,spは24%、Qgは25%削減させました。
蓉矽によると、第2世代NovuSiC® MOSFETはすでにテープアウトを実現でき、間もなく公開されます。また、研究開発への投資を増加し、1700V、3300V車載用レベルのSiCダイオード、SiC MOSFET、およびSiCモジュールを開発し続け、高性能、高信頼性の新エネルギー自動車及びハイエンド産業分野のパワーデバイスに対する市場ニーズを満たすことができます。
SiダイオードはnAレベルの性能を実現 高温条件下リーク電流指標が同類製品を上回る
SiCデバイスを除き、今回蓉矽は、高耐圧、高作動温度、超低リーク電流と低導通電圧降下などの特性を備えたSi理想ダイオードMCR®(MOS-Controlled Rectifier)もリリースました。
発表会では、高巍氏は特にMCR®技術の開発過程を紹介しました。 2013年から2014年にかけて、電子科技大学パワー集積技術研究室は華潤マイクロエレクトロニクス重慶(旧中航マイクロエレクトロニクス)でMCR®製品の100 V、150 V、200 V、300 Vの4つのプロセスプラットフォームを構築し、技術成果の転化を実現しました。2020年、蓉矽半導体がMCR®全シリーズの製品、知的財産権及びプロセスプラットフォームを購入し、そして2021年1月25日に協定が正式に発効しました。
通常のSiダイオードと比べると、蓉矽のMCR®製品はnA級逆方向リーク電流、安定した高温特性、高アンチサージ電流能力などの優位性があり、中低圧150 V ~ 600 V応用に適しています。
国内外の競合品と比べると、耐圧、高温リーク電流と逆回復時間において、蓉矽のMCR®製品はいずれも優位性を示し、より高い信頼性、より低い電力損失を備え、海外産の代わり、国産を真に実現しました。
蓉矽製品と海外製の同類製品は常温でnA級のリーク電流性能を示したが、高温Ta>100℃の場合、蓉矽製品はより安定した耐圧特性を示しました。
究極の性能、究極の高コスパ 太陽光発電、急速充電、エネルギーストレージなどの高インクリメンタル市場に提供
蓉矽NovuSiC® EJBS™及びSi MCR®製品の性能と信頼性は優れて、お客様にどのようなメリットをもたらすことができますか。発表会では、蓉矽高級応用エンジニアの王徳強氏が太陽光発電、直流急速充電、磁気吸着LED照明及びエネルギーストレージなどの製品ソリューションから詳しく紹介しました。
王德强氏は、「蓉矽NovuSiC® EJBS™の優れた特性により、太陽光発電および直流急速充電などの分野により高い信頼性、より良いコストのソリューションをもたらすことができます」と述べました。
1100 V太陽光発電システムBoost PFCの応用シーンを例に、同じ応用条件下で、NovuSiC® EJBS™を採用した後、全体のシステム効率は0.8%向上でき、Si IGBTとSiCダイオードの温度上昇をそれぞれ6℃と13℃低下でき、全体的な電力密度は大幅に向上できます。
EV直流充電器において、20 kWのEV充電器Vienna整流応用シーンを例に、NovuSiCする® EJBS™を採用した後、同じ応用条件下で、システム効率は1.05%向上でき、スイッチング損失は91%低減でき、総損失は50%低減できます。
エネルギーストレージ電源とLED照明において、Si MCR®は、さらにお客様が製品性能を向上させ、コストを削減するのに役立ちます。
例えば、エネルギーストレージの反接合防止応用シーン、同じ応用条件下で、蓉矽のMCR®デバイスを使用した後、システム損失は16%削減され、デバイス動作温度は10℃低減され、充電効率は1.25%向上されました。
エネルギーストレージの高周波整流応用シーン、同じ応用条件下で、蓉矽のMCR®デバイスを採用した後、システム総損失は18.7%低下し、デバイス動作温度は13℃低下し、出力効率は0.27%上昇し。損失が変わらなければ、周波数は50%向上できます。
現在、磁気吸着LED照明は非常に流行って、レールが細長いため、電源サイズを下げ、エネルギー効率を高めるため、新しいデバイス技術が特に必要となります。
高効率LED照明に対して、蓉矽は次の2つのソリューションを提供します。高周波数整流応用シーンでは、MCR®製品を採用した後、出力パワー350 W、共振周波数200 kHzの場合、>94%の最高効率を実現しました。一方、出力パワー50W、動作周波数48 kHzの場合、90%の最高効率を実現できます。
産業チェーンを厳格に制御 お客様満足度の最大化に
四川省をリードするSiCパワーデバイスサプライヤーとして、蓉矽チームは豊富なパワーデバイスの経験を持ち、製品設計、製造プロセス、パッケージ技術とシステム応用などの面から、SiCデバイスの製品産業化を大いに推進しています。
世界にリードするパワーデバイス製品を提供するだけでなく、蓉矽はカスタマーサービスの詳細に磨きをかけることにも非常に重視しています。蓉矽の廖運健マーケティング副社長によると、蓉矽はサプライチェーンシステム全体の計画、協調、操作、制御、最適化を重視しています。目標は、顧客がほしい正確な製品を正確な時間、正確な数量、正確な品質、正確な状態で正確な場所に届くことができ、総コストを最適化する6つの「正確」を実現できることです。
廖運健氏によると、蓉矽がこのように行動するのは次の2つの目標があります。お客様の最大満足度を向上させること(納品の信頼性と柔軟性を高めること)、と企業全体のプロセス品質最適化させること(失敗コストと異常事象の除去)です。
SiCデバイス製品は材料の優位性により、5 G通信、新エネルギー自動車、グリーンエネルギー、軌道交通などの分野で不可欠な役割を果たしています。蓉矽は将来、一歩一歩、核心技術の面でリードを実現し、さらにハイパワーデバイス事業を行い、四川で中国をリードするパワー半導体の研究開発と製造基地を構築し、SiC産業の発展に貢献して行きます。